臭気判定士試験対策 嗅覚概論③ におい物質

臭気判定士
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匂い物質とはどのような物質をいうのでしょう?花の香りやトイレの匂い、匂いがするものはすべて何か化学物質を放っているのです。

今回はそんな匂い物質についての特徴と構造について学びましょう⌬ 試験を受けない人も是非ご覧ください!

  • 匂い物質の特性
  • 匂い物質の化学構造
  • 有機化合物
  • 発香する官能基
  • 異性体

におい物質の特性

この世の全ては原子でできています。そしてその原子は原子同士、化学結合で結びつき分子を形成します。そして、私たちの体や地球は分子でできています。しかし、不純物がない水はにおわないし、プラスチックや金属もにおわないはずです。臭いものやいい匂いのものは何が違うのでしょうか?

におい分子を構成している元素は、非金属元素群に属しており、代表的元素は水素(H)、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)、イオウ(S)、リン(P)、ハロゲン(F、Cl、Br、I)などです。これらの元素群が種々の化学結合をつくることで、におい分子が構成されています。

におい物質となる分子のほとんどは炭素結合で構成される、有機化合物です。におい物質となる有機化合物がどの様な匂いがするかは、分子構造が影響します。においと分子構造との関係については、香料会社や製薬会社などで多くの研究がなされていますが、嗅覚が多様なことなどから一貫した規則性を見いだせていない現状です。そうした中、経験則として見出されている発香団や構造がある様です。

一般的に化学物質がにおい物質になるためには、以下の条件があります。

  1. 両親媒性(一つの分子に水に馴染む親水基と油に馴染む疎水基を持つ)を示す
  2. 揮発性を有する
  3. 官能基を持つ(炭素だけでにおいを持つ分子もありますよ!)

以上の三つを示すもので、その構造から見出せた経験則を紹介します。

匂い物質の構造

花を嗅ぐ女性

1.炭素数

骨格となる炭素数は、低分子ほど官能基特有のにおいが強く刺激的です。

具体的な例では、炭素数6のアルコールやアルデヒドは葉や芝生の様な強い青さを感じる香りがし、炭素数8からは少しカメムシや酸化した油の様な匂いとなり、12個ほどだと脂肪の様な匂いになります。さらに炭素数が大きくなると香気は薄くなっていきます。

炭素数による香気の例

2.分子量

17〜300までの分子の範囲で匂いがすると言われています。この範囲でも官能基によっては水の様に匂わない分子も非常に多く存在します。一般的に分子量が小さいほど、刺激的で軽くすぐに飛んでしまうにおいで(香水で言うトップノート)、分子量が大きいほど重く残るにおいを放ちます(香水で言うラストノート)。ちなみにもっとも小さい分子量17の分子はアンモニアで、香料として実用されている最大の分子量のにおい分子がムスクキシロールの297です。

分子量でのにおい物質

3.不飽和度

二重結合や三重結合の数が高まるとにおいがより強くなる傾向があります。

不飽和度

4.硫黄、窒素の有無

分子内に硫黄(S)や窒素(N)があるときついにおいになります。硫黄が入ると腐卵臭や玉ねぎの様な匂いがすることが多く、窒素が入っていると生臭い様な匂いや動物の様な匂いがすることがあります。

S臭N臭

同じ骨格でも比べてみると

テルピネオールとチオテルピネオール

OHがSHにすり替わっただけで、土臭いけれど優しい爽やかな香りを持つテルピネオールが強烈なグレープフルーツの皮の少し硫黄っぽい香りを濃縮した物質になります。

チオテルピネオールは10−4 ppbでも感じ取れる非常に閾値が低い物質で、少しこの物質の瓶を開けただけでも部屋中が臭くなってしまいます。 

シクロヘキサンとピペリジン

こちらは、有機化学を先行している学生なら馴染み深い物質ですが、一般的な溶剤のツンとした匂いを持つシクロヘキサンの一つの炭素が窒素にすり替わっただけで、生臭く、もっというと精〇(笑)の様な匂いがします⌬ 化学専攻していた方が有機化学に進むのをこの匂いを嗅いで辞めてしまうなんて人もいる様ですね笑。(私も嫌いです。)

5.におい官能基の有無 

分子内に官能基(カルボキシ基、カルボン酸、エステル、エーテル、アルデヒド基、ケトン、ラクトンなど)があるとにおいが強くなります。

カルボン酸は酸臭やチーズ様臭エステルは瑞々しいフルーツの様な香りラクトンは甘いフルーツの香りなど官能基によって感じる香りが異なります。

官能基

6. 水酸基の数 

分子内の水酸基の数は、一つの時が最も強く数が増えると弱くなり無臭に至ります。

7.エステル化合物の有無

エステル化合物は、構成する酸やアルコールと全く違い、それぞれが臭いと感じられるにおいでもエステルは芳香が強く、まるで果物の様な香りとなります。また、分子内でエステル結合している物質は、ラクトンと呼ばれ、小さい環状のものでは桃やココナッツの様な甘い香りが、大きいものでは大環状ラクトンと呼ばれるムスク様の香りがするものもあります。

ラクトンの構造

上記の内容を表にまとめましたので、ご参考ください。(見にくいんで拡大してね⌬)

構造によるにおいの特徴

異性体

におい物質のにおいは異性体で異なる場合があります。

有名な例では、メントールが挙げられます。メントールは天然には(L)体のみ存在しますが、右手と左手の関係の様な重なり合わない、つまり実は違う物質の関係にある(D)体もあります。(L)体は非常に冷感のあるスッーっとした爽やかさをもちますが、(D)体はホコリっぽい消毒薬とも揶揄される様な匂いがあります。

この様に非常に似ているにおい物質の違いでも鼻は感知することができるのです。

ちなみに、この様な異性体はガスクロマトグラフィーによる分析でも特別なカラムを用いないと分離が難しく、人間の鼻は機械にも勝る高度な検出器であるということを思い知ります。

メントール

におい物質の構造は、この構造だからこんな匂いがする!というのをずばり当てることができないほど複雑で、今まで書いた様に、経験則でしか語れないものも多いです。また、濃度によって感じ方が違うものもあるため非常に難しいものです。(インドールなんかがその代表ですね)しかし、その複雑さが様々な生活の香りを彩っていると考えるとそれは逆に素晴らしことと考えられなくもないかなと感じます。

こんなのが試験で出題されるのかと思われますが、知識として覚えておいて損はしません。(出題もされます。)是非色々な香りに向き合って興味を持つことが勉強へのモチベーションの一歩となるかと思います。

fukublogではアロマ講座として様々なにおいを題材にしてその構造と香りの正体を追っておりますので、嗅覚やその他の香りについての知識も深められますのでそちらも是非ご覧ください!

ではまた次回よろしくお願いいたします⌬⌬!

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